どうして急に花屋かって?


まぁ、聞けよ。


聞いても驚くなよ?


「っし、終わり」


水やりを終えてそそくさと店内に入る。


今日は特別な日なんだ。


リナの、あの最後の約束を果たす日。


俺は店の奥に届いている大きなダンボールを1つ取り出して、ヒロを呼んだ。


「これが完成品なんだ」


そう言って、箱を開けると――ピンクと白の、背の高い花が鉢植えにズラリと並んでいる。


「へぇいいじゃん」


気のない返事をしながらも、ヒロの目には涙が浮かび、鼻水をすすりあげた。


同じ品種だけどそれぞれの名前と花言葉を持つ花。


これを開発したのは、俺とリナとクウナちゃんの父親ってところか。


「で? 花の名前は?」


そんなの、決まってるよな。


「ピンクがku-na花言葉は『友情』」


言いながら、俺は最後のリナの言葉を思い出す。