「お父さんたちだわ……」


リナの声が強く震えた。


嘘だろ……?


その時だった「いました!!」と、その中の1人がこちらに気づいて叫んだのだ。


背中に汗が流れ落ちる。


叫び声とほぼ同時に全員がこちらへむけて走り出す。


俺は自然とリナの手を強く握り締め、時刻を確認していた。


残り2分。


「リナ、2分間走れるか?」


「……うん」


驚いた顔をした後、リナは嬉しそうに微笑んだ。


ここであいつらにリナを渡すワケにはいなかい。


リナは、ここにいちゃいけないんだ。


自分自身に強く言い聞かせる。


あいつらは薬を持ってる。


リナに飲ませればまた一緒に話せるときがくるかもしれない。


でも、ダメなんだ。


できないんだ。