「もうすぐ花が咲くって知ってから、クウナは毎日泣いてたわ」


2人で海を大きく見渡せる階段に座り、静かな時を過ごしていた。


「『死にたくない、死にたくない』って。それを知ってても、お父さんはクウナに薬を飲ませようとはしなかった……」


「どうして?」


「薬はとても貴重な薬品を使うから、一回に作れる量にも限りがあったの。それを私が3時間おきに飲んでたら、クウナの分はなくなっちゃうのよ。お父さんはクウナにただの風邪薬を飲ませて、医院長を騙してたの」


自分の薬とリナの薬を見比べておかしいと感じたクウナちゃんは、それに気づいていたらしい。


死にたくない。


だけどリナから薬を奪うことはできない。


父親にその事実を話すとリナも薬を飲めなくなってしまうかもしれない。


深い友情と死の間で彼女はどれだけ苦しみ、どれだけ心が揺れ動いたんだろう。


「最後に、クウナは死の恐怖で病棟を飛び出して――そのまま開花したの」