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警報音は建物を出てもしつこく鳴り響いていて、俺は振り返らずに全速力で走った。


道路に出てがむしゃらに走り、警報音と建物が後方の豆粒になっても足を止めなかった。


誰かが追ってきているかもしれない。


掴まってしまえばそこで終わりだ。


「ナオキ……!」


リナの苦しそうな声で、俺はようやく我に返り振り向いた。


そんなに走っていないと思っていたハズなのに、気づけばアパートの近くまで来ていた。


「ごめん……大丈夫?」


立ち止まると急に呼吸が苦しくなる。


どっと汗がふきだして、足がガクガクと震える。