俺は大きく扉を開けて、走りだした。


数人の男がヒロシに殴られて廊下で気絶しているのが見える。


ヒロシが3人の男に囲まれ、その中で必死に抵抗しているのが見える。


……一瞬、足が緩んだ。


顔に血が滲んでいる。


3人が同時にかかってきたら、ヒロシだってかなわない。


「ヒロ――」


「行けぇぇぇ!!」


俺の言葉を遮って、ヒロシが叫んだ。


「行けぇぇ! ナオキィ!!」


もみくちゃにされながらの必死の叫びだ。


俺は止まりかけた足を無理矢理前へ押し出した。



「うあぁぁぁぁ!!」


自分でもよくわからない雄たけびを上げながら、俺はリナの手を強く強く、握り締めた――。