「先輩の部屋見せて貰ってもいいですか?」
彰が風呂から出てくるまでリビングでくつろごうと思ってソファで寝ていると、さっきまで母と夕食を片付けるのを手伝っていた佐伯が俺にそう言った。
「え、いいけど特に見せるものないぞ」
「いいですよ。さ、見せてくださいよ」
佐伯は俺の手を引っ張って二階へ向かった。
「どっちですか?」
二階へ上がると佐伯は二つの部屋を交互に指さしながら俺に聞いてきたので「左」とだけ答えた。
「へー。普通の中学生の部屋ですね」
特に驚く様子はなく感想はそれだけだった。でも実際、驚くような物はこの部屋にはない。
「というか…私が言うのもあれですけど…ちゃんとバスケバカしてますね」
「ちゃんとってなんだよ。」
その後は佐伯は何かを探すような仕草をしていて、俺はそれを眺めていた。
「これって先輩のアルバムですか?」
佐伯は本棚から俺の幼稚園の頃のアルバムを取りだした。
「あ、うん。そうだけど中見るなよ」
さすがの俺でも恥をかきたくない。でも、時すでに遅しだった。
「へ〜。随分と可愛らしいですね!」