「あ、この前ニュースで見ました。相手は確か一般の人なんですよね」
鍋の豚肉を食べながら彰は母にそう言った、すると母が答える前に佐伯が口を開いた。
「それ私も見ました!一般の人って言われると気になりますよね」
すると今度は母が少し笑顔になりながら口を開いた。
「私、相手の人しってまーす」
母は自慢げにそう言った。完全にみんなでの食事を楽しんでいた。当然だ。母は彰の余命のことを知らないのだから。そして、佐伯もそうだ。
「え!気になります!」
すかさず佐伯が反応した。彰の方はあまり興味が無いみたいだ。
「相手は私の夫の親友で私の友達なんだー」
「親友…こりゃまたすごいですね!」
その後は普通に色んな話をして盛り上がった。全員がお腹がいっぱいなった時、母がある提案をした。
「明日学校休みだよね?皆泊まってけば?」
「俺は元々泊まるつもりでしたよ」
そう言って彰はお風呂セットを抱えていた。