佐伯はDeer hornさんのファンだったのか。さっきはそんなことを言ってなかったと思うが、気にしなかった。
「あ、俺もその話聞きたいです」
今度は彰が箸を一度茶碗の上に置き佐伯に続いて口を開いた。
「仲良かったというか親友かな。なんか…向こうが有名人だからって言ってる訳じゃないのよ」
それは俺もわかっている。母はDeer hornさんとの思い出話をする時はいつも笑顔で楽しそうに話している。そして、今も楽しそうに彰と佐伯に向かって思い出話をしている。二人も楽しそうにその話を聞いていた。俺は聞くのは二回目なのであまり耳には入れなかった。それより俺は彰の病気について佐伯にバレないか、そして、俺が知っているということを知られないようにするかで頭がいっぱいだった。
「…そういえばDeer hornって芸名ですよね。由来とかって知ってます？」
「うん。実はその名前は私たちでつけたのよ。それに、本当は間違ってるんだけどね。今考えれば間違ってるんだけどね｣
「茜さん達が？」