「ただいまー」
玄関のドアを開け、いつものようにそう言った。
「お、お邪魔します」
こんなに緊張している佐伯は久しぶりに見た。初めて見たのは確か、部活のマネージャーとして入部した時の自己紹介の時だった。
「あら、いらっしゃい！後輩って女の子だったのね〜。もしかしてできてたりする？」
「そんなわけないだろ。」
「あれ？彰先輩？なんで？」
リビングのドアを開けると佐伯が彰を見て驚いていた。俺も軽く驚いた。
「あ、うん。家…隣だし」
まだ驚いている様子だったので俺が軽く説明をした。
「前に俺と彰は幼馴染だって言ったじゃん」
「それは知ってますけど…」
「彰のお父さん出張で家開けてるから寂しんだよ」
俺が冗談目かしくそう言った。
「いや、別にそんなことないけど」
佐伯は噂として聞いていたのか、はたまた、たまたまか分からないが彰と楓の母親については聞かなかった。