「私もこの人好きですよ。それにしてもお母さんが知り合いだったとは…。なんとも羨ましいですね。身内にそういう人がいないもんで」
母の友達と言うだけで別に俺と仲がいい訳では無い。でも、俺の唯一の自慢話だ。でも、今どきの子は知らない人が多いけど。
「前にこの人の記事読んだんですよ。」
「…なんて書いてあったんだ?」
俺は基本雑誌なんてものは読まないのでDeer hornについては母の話しか知らない。あとテレビでチラッと見るくらいだ。
「じゃあ今度、学校に持ってきますね。百聞は一見にしかずですよ先輩。」
「ありがたいけど、わざわざ持ってこなくていいよ」
別に母の話だけで十分だったからわざわざ見るようなことでは無いと思った。
「あ、今日先輩の家行ってもいいですか?」
「随分と唐突だな…」
「今日、両親が家にいないので寂しんですよ。それにDeer hornさんの話を先輩のお母さんから聞きたいですし」
「いいけど、ちょっと連絡してみるわ」