全部の試合が終わりミーティングが開かれた。
「とりあえず練習試合お疲れ様でしたー」
佐伯がみんなに向けて大きな声でそう言ってから今日の反省などをスラスラ述べたが、その声は俺の右耳から入り、左耳から抜けていった。
佐伯の話も終わり、顧問の先生の話も終わり、解散となった時、楓が俺の前に現れた。
「あれ?彰は?」
「先に帰ったよ。なんか、みんなに顔出すのが嫌だったらしい」
「…そっか」
もう疲れてしまってるから、元気の無い返事になってしまった。
「彰が『俊のプレーは毎度驚かされる。すごいかっこよかった』だって」
なんだよそれ。直接言えよ。と思ったがそれはそれで照れくさかったので結局のところどっちでもよかった。
「帰りの支度終わったら一緒に帰る?」
練習試合の会場は電車で三駅のところなので途中までは一緒に帰れる。
「うん。帰ろっか。」
「私も一緒に帰ってもいいですか?」
楓が頷いたところで隣にいた佐伯がそう言ってきた。
「いいよ〜。一緒に帰ろっか」
俺はちらっと楓を見た、楓は笑顔でそう返事をした。