どういうことか聞くと、彰は自分の意思でアメリカに行き、眠りにつきたいと言ったらしい。そしてそれを芽吹さんは知っていた。
「なんで話してくれなかったんですか!?」
俺は勢いよく芽吹さんの胸ぐらを掴んだ。
「ちょっと俊…」
すかさず楓が俺を止めに入った。でも、どうしても許せなかった。彰と彰が眠りにつこうとしていること知っていながらも平気な顔をしていた芽吹さんが。
「落ち着いていられるかよ!彰ともう会えないかもしれないんだぞ!」
不謹慎かもしれない。でも、実際にそうだ。彰の病気が治るのがもしかしたら俺らが死んだ後かもしれない。仮に治せるようになったとして、その時に眠った彰を起こす技術があるのかも分からない。
「……ごめん…でも彰くんに頼まれたんだ。」
俺は芽吹さんの泣きそうな顔を見て、膝から崩れ落ちてしまった。
「あの時…俺は信じてました。薬を飲めば治るって言われて…。」
「…本当に申し訳ない」
芽吹さんは頭を下げた。深く深く。
「あの…説明をしてもらってもよろしいですか?」
楓が泣きそうになるのを必死に耐えながら芽吹さんを見て、優しい声でそう言った。
「…わかりました。」
それから芽吹さんは俺たちに真実を全部話してくれた。
彰は自分のために楓と俺が苦労してるのはもう嫌だった。かと言って、自分が死ぬのは嫌だった。そういう話だった。