「それは…」
俺のためなんて到底言えなかった。自己中にも程がある。
「楓の方は彰のためです。さっきも説明した通り、朱里さんの知り合いで彰の病気のことを研究している人がいるみたいで…。それで、楓もそこで勉強したいって。それと、彰はどうしてもバスケがしたいらしくて、俺もそうなんですけど…。彰の場合はマネージャーやるみたいですけどね」
「マネージャーね…。」
どうやら、彰の病気の研究をしている人がいる事は知っているみたいだ。
「そうなんです。マネージャーとしてチームを支えてもらえればと思って。それに彰の病気についてこの国で一番知ってる人が近くにいると安心なんじゃないかと思って…」
俺は決定打を出した。俊典さんは彰の安全を保証出来ればいいと思った。
「いや、認められない。」
「え?ダメってことですか?」
「いや、彰の方は君にお願いするよ。でも、楓はダメだ。」
「楓は必死なんですよ!彰を助けるために!俺は馬鹿だから勉強なんてできないし、二人を支えることも出来ない。だから、せめて…二人の望みは叶えてやりたいんです…」
俺は声を振り絞りながら、俊典さんにお願いをした。でも、泣きはしなかった。それはとてもお門違いな気がするから。