「あれ?彰先輩?」
俺たちが体育館に着くと体育館の鍵を持った佐伯が俺達の後ろにいた。
「ちょっとだけならいいって許可が降りたんだ。」
佐伯は俺たちにいつもの三倍くらい明るい笑顔を見せた。
「じゃあ、今日は試合中心でいきましょー!」
「話聞いてたか?軽くだぞ」
俺は佐伯のボケに突っ込んだが、俺は久しぶりに彰と試合ができることを心のそこから喜んでいた。
体育館の中に入ると当たり前だが誰も来ておらず、少し冷えきった空気が体育館を覆っていて、四つの換気用のドアを開けると朝日がいい感じに床を照りつけていた。
「誰も来てないのでシューティングでもしててくださいね」
「了解ー」
そういえば、母に佐伯に手紙を渡すよう言われたんだった。俺はそれを思い出し、用具庫にいた佐伯の所へ行って手紙を渡した。
「これ、俺の母さんから佐伯に渡してくれって」
「茜さんから?私に?」
俺が頷くと佐伯はその手紙を受け取った。
「中見てもいいですか?」
「佐伯宛なんだから俺に確認とってもしょうがないだろ」