「まぁ、でも、多分離れることは無いけどな」
耳を疑った。俺の耳が悪くなったのか。それとも彰が冗談を言ったのか。だから俺は聞き返した。
「え?今なんて言った?」
彰はゲームをしてる手を止めて、俺の方を見た。
「え?だから、楓と離れるのとは多分ないって言った。」
「どゆこと?楓も九州来るの?」
「まぁ、そういうことになるな」
「どゆこと?」
「いやー、俺もよく知らないんだよな…」
それから俺がしつこく聞くと、彰は渋々教えてくれた。
「なんか俺も理由はわからんけど、春斗さんの家に住むんだって。まだ、お父さんには話してないみたいだけど。それをこの前、学校の先生に相談してんの聞いちゃった。」
俺は彰のその説明だけで理解した。
楓がそこに行く理由なんて『彰のため』だ。
多分だけど、芽吹の所でするんだ。彰の病気についての勉強を。
「あの時…」
あの時、隠れて芽吹さんにしていた話がこれか。
「あの時?」
「あ、いや。なんでもない」