彰は箸を持ったまま両手を合わせながら謝った。おそらく、俺が部活でバスケをしている時に話したのだろう。
俺が驚いたのは、別に彰が両親に話していたことではない。母が随分と呆気なく認めてくれたことだ。
「九州だよ!?」
「それも知ってるわよ。それで、俊はどうしたいの?」
「俺は…」
俺はまず彰がいけるのか。そして、もし彰がいけなかった時、俺はどうすればいいのか。そこが問題だった。だから、俺は今思っていることと考えていることをそのまま両親に説明した。
「なるほどね。別に今決める必要はないんじゃないか?」
今度は父が笑って俺にそう言った。たしかに、父の言う通りだ。別に、今決断をする必要はない。
「そう…かもね。ゆっくり考えるよ」
それから俺たちは夕食を食べ終え、お風呂に入り、少しだけ彰と世間話をして、布団に入った。
「俺って俊の邪魔になってない?」
いつものように彰を俺のベッドに寝かせ、俺が床に布団を敷いて寝ていると彰は悲しそうな声で俺にそう言った。