部活が終わり、家に帰宅すると何故か彰がいた。
「あれ？お父さん帰ってきたんじゃなかったっけ？」
「それがさぁ、またすぐどっか行っちゃった」
まじか。なら、楓の方も朱里さんの方にいるのだろう。
俺はカバンを自室に持っていき、一階に降りてリビングのソファでくつろいでいた。
母はキッチンで晩御飯を作っていて、おそらく父はお風呂に入っている。両親とも今日は随分と早上がりだったみたいだ。
「それよりさ、部活どうだった？」
俺がテレビで沈没船のニュースを見ていると彰がなんの前触れもなく俺に話しかけてきた。
それに、今日の部活のこととは、おそらく嬉しい報告についてのことだろう。だからか、彰は随分とご機嫌だった。
俺は全てを話した。推薦を貰った高校の名前と二人でセットで欲しがっているという話をした。
「それって俺が断った場合、俊はどうなるんだ？」
俺が先生に聞いたことと全く同じことを彰は聞いてきた。
「それは分からない。でも、多分どっちでもいいんじゃないかな」
俺は根拠の無い、ただの自分の願望を彰に話した。