「なるほど…」
俺がそう反応すると今度は芽吹さんが「それから」と補足説明を付け加えようとした。
「藤原道真が死ぬ時に、棺桶に大好きな餅に梅の枝を刺したものをお供えされたことが始まりなんだ」
「詳しいんですね」
「私もそれ、知ってたけどね」
楓が自慢げにそういった。知らなかったのは俺と彰がただの世間知らずだったということか。
「長話してしまったね。さぁ、熱いうちに食べよう」
春斗さんの掛け声と共に、みんなは梅ヶ枝餅を口に入れた。
「熱！」
思ってたより熱くて思わず、そう口に出してしまった。
「ゆっくり食べろよ」
彰はそんな俺に呆れたように笑いながらそう言った。
そんな俺らを楓は微笑ましく見ていた。
「これ、美味いですね」
中の餡子は甘さが割と控えめで、ほのかに塩気も感じる。何より外側がパリッとしていているのがいい。
これなら何個でも食べれる気がする。
『美味い！』
俺に便乗するように彰と楓が口を揃えてそう言った。