「彰の病気の研究してる芽吹さんは一生懸命やっている。でも、一向に成果はでてないそうだ。先に言っておくが『冷凍保存』をするという提案をしたのは私だ。」
「…そう…なんですね」
驚きはしたが、俺はなんて返事をすればいいか分からなかった。ただただ静かにそう返すしかなかった。
「彰はあの人に似てるところがある。だから、もしかしたら誰の意見よりも自分の考えを優先するかもしれない。俊と楓には、それでも彰の決断を受け入れて欲しい。」
朱里さんの言う『あの人』というのは朱里さんの夫であり、彰と楓のおじいちゃんである『蓮さん』のことを言っているのだろう。
「たしかに、似てますね…彰。」
俺の知っている蓮さんは誰よりも他人(俺たち三人)を優先する優しい人だった。そんな蓮さんは朱里さんの言う通り、似ている。
「私は同じ提案をしたんだ。あの人にも、『冷凍保存をしてみないか』って、そしたらあの人は『もし、俺がそれをして、目覚めた時朱里がいなかったら俺は生きてる意味はない。それなら来世でまた会いたい』って言ったんだ。」