「遅かったな。後ろに人が沢山いたから先にどいたわ」
俺たちが向かっていることに気づいた彰は先に行った理由を説明した。
「それで、何お願いした?」
「いや、言うわけないだろ」
「そうだよ、言ったら叶わなくなっちゃうんだから」
俺たちの会話に楓も参戦してきた。
「なんだそれ。それ迷信だろ?」
「じゃあ、いつか教えてやるよ」
これは俺なりのさっきのお返しのつもりだ。
「それで、何買うんだ?」
そんなことより俺は、ここで佐伯にお土産を買おうと思った。スポーツのお守り的なやつを。
もちろんたが、普通にお菓子とかも買うつもりだ。
「これとかでいいんじゃないか?」
彰は俺の質問を無視してひとつのお守りも手に取った。彰が手にしたのは『勝』と書かれた黄色のお守りだった。
「自分のか?」
「おそろいで買うか?」
彰はもうひとつの白色の同じものを手に取った。
俺はすぐに勢いよく頷いた。
「じゃあ買ってくるわ」
「ちょっと待てよ。お金あげるから」