「あ、うん。昨日、俺の携帯の充電なくてさ、充電しながら寝て、朝起きたらめちゃくちゃ着信来ててさ」
俺を先に行かせた謎が解けた。みんなが彰に気を遣った意味がまるでなかったらしい。
「それで、なんだって？」
「いや、それは帰ってからの楽しみで」
彰はニヤッとしながら口元に人差し指を立てていた。
「…なんだそれ」
「えー気になるー！」
楓は赤ちゃんみたいに駄々を捏ねようとしたので、俺も「俺も気になるんだけど」と楓に乗っかった。
「いや、帰ってからの方がいい。でも、楓には教えてやるよ」
そう言って彰は携帯を取り出し何かを打ち始めた。そして、携帯をいじるのを辞めると同時に楓の携帯が音を出した。
「楓、メール送ったから見てみ」
楓はカバンから携帯を取り出しその画面を見て驚いた。
「まじ！？」
「まじまじ」
「良かったじゃん！」
「俺にも教えてよ」
そんな三人の構図を芽吹さんは微笑ましく見ていた。春斗さんと朱里さんは二人で何かを話していた。