自分の部屋に入り久しぶりにあれをやろうと思った。
自分の部屋にある唯一の窓を開け、真正面の部屋に明かりがついてることを確認してから小学生の時、修学旅行の日光で買った木刀で窓をつついた。何回かつついた時に窓が空いた。
「久しぶりだな。ここで話すの」
窓を開けながらそう言ってきた彰は髪を上で縛っていた。相変わらずその少し目にかかった前髪を切ればいいものを…。
「ああ、そうだな」
「それで?何か用?」
窓に肘をつきながら、前髪以外の髪がそよ風に揺れていて、なんとも絵になる様子でかっこよかった。
「あ、うん。楓のこと…。なんで1ヶ月も友達の家に泊まってんの?」
彰じゃなくて楓に直接聞けばいいものをわざわざ彰に聞いた。理由はこんな喧嘩?を初めて見たから楓に直接聞いていいかどうか分からないけど彰なら聞けそうだったからだ。
「……俺が原因だよ。」
彰は笑顔ではあるが悲しそうな声でそう言った。