「起きろー」
元気の無い声で俺を起こしに来たのは幼馴染であり、親友である川口彰だった。
「何だ……楓の方じゃないのか……」
目を半開きで起こしに来た彰を見てそう呟いた。
幼馴染の女の子が幼馴染の男の子を起こしに来るなんてラブコメ的なことは起きない。
俺はずっとこいつの姉の楓に起こしてお貰うことを期待しているが俺が遅刻しそうな時いつも起こしに来るのは彰だ。そして、俺はこいつの姉の楓のことがずっと前から好きだ。
「楓じゃなくて悪かったな。楓は最近ずっと友達の家に泊まってるから家にいないんだよ」
友達の家に泊まっていようがいまいが、起こしに来るのはいつもお前だろ!と突っ込もうとしたが朝ということもあり、気力がなかった。
ぱっちり目を開け、起き上がり時計を見ると8時半をすぎていた。
「やばい!遅刻じゃん!」
両親は朝早くから仕事に出かけてしまった。そのせいもあって一度は起こされたが二度寝をしてしまった。
「先に学校に行ったかと思ったけど、よく考えたらお前がそんなことするはずないって思って合鍵使って勝手に入ったらいつも通り寝てたから起こしてあげたんだよ。ほら、早くしろよ。置いてくぞ?」