「僕は勝手に結婚してるつもりだけどね」
春斗さんは笑いながらそう答てから、椅子から立ち上がりどこかへ行ってしまった。数秒して戻って来る時には左手の薬指に指輪をしていた。そして、頭の上に「？」マークの着いていた楓に優しく説明を始めた。
「僕は小さい頃から心臓に病気を患っててね。そのせいか、友達が一人しかできなくてね。友達と言っても君達みたいに幼馴染だけどね。それにらもう死ぬ覚悟をしていたよ。でも、ある時、クラスメイトに僕の病気のことがバレてしまってね。それからだよ。僕の人生が変わったのは…」
そして、春斗さんはその自分の病気がバレてしまった相手との思い出や、その好きになった人も病気を患っていて、その人の心臓の移植をしてもらったことなど。
俺たち三人は食事中だということを忘れてしまうくらい真剣に聞いた。
「そう…だったんですね。」
楓は質問したことを後悔したみたいに静かにそう答えた。
「今でもたまに、夢に見るんだ。彼女との夢を」