芽吹さんの掛け声で俺も含め全員が手を合わせた。
『いただきます！』
俺はまず、喉を潤すためにコップに入っていたお茶を飲み干した。このお茶でさえ、九州の味がした気がした。九州の味なんてまるで分からないのに。
「俊、この肉美味いぞ」
コップを置くと同時にそう言われ、横見ると彰はもつ鍋の中に入っていた肉を食べていた。
「そうだろ。美味いだろ」
春斗さんは美味そうに食べている彰を見ながら笑っていた。
「はい！」
それに対して彰は元気よく返事をしていた。
早速俺も、もつ鍋の肉を自分の容器へ移し、口に運んだ。
「とっても美味いです」
もちろんお世辞ではない。本当に美味しい。汁は醤油の味がするし、ほのかにニンニクの味もする。そのニンニクが余計に食欲をそそる。
「じゃんじゃん食べてくださいね」
芽吹さんは俺たちに向けて笑顔でそう言った。
「彰、俊、これ食べてみて！」
楓は鶏肉とナスやピーマンなどの夏野菜の入った炒め物みたいなものを俺たちに勧めた。勧めは理由は楓が作ったものだからだろう。