「あ、いえ。問題ないですよ」
春斗さんと芽吹さんの会話に楓が笑顔で反応した。
「ありがとう。そうだ。話を戻すけど、ここら辺は割と田舎の方だからもう少し都会の方へ行こうか。車なら出すから。」
そういえば、家の前にファミリータイプの黒い車が一台止まっていた。
「ありがとうございます。九州なんて始めてくるので、何があるか分からなくて」
俺は春斗さんがした、『どこに行きたい』という質問に対して丸投げしてしまった理由を説明した。
「みんなの期待に答えれるよう頑張るよ｣
「はい！」
俺と楓と彰は声を揃えて笑顔で返事をした。
そんな俺らの様子を見ながら朱里さんは鍋の様子を確認していた。
「そろそろいいんじゃないか？」
朱里さんは鍋の蓋を開けた。すると、さっきまでほのかに香っていただけだったが、ブワッと匂いが広がった。これは完全にご近所さんまで香っている。そう確信した。
「じゃあ、いただきますをして食べましょうか。」