彰が静かに返事をした時、玄関のドアが開いた音が聞こえた。
「あれ…まだ玄関にいたんですか」
ドアから入ってきたのは芽吹さんだった。
「あ、すみません。ちょっと家の広さに見とれてて」
「そうなんですね。好きにくつろいでくれて構いませんよ」
芽吹さんは微笑みながらそういった。
俺たちはとりあえず荷物を部屋の片隅に置いてソファに座った。すると、芽吹さんがテレビをつけてくれた。
芽吹さんは台所の方へ行き、俺たちに再び飲み物を用意してくれていた。
「さっきと同じリンゴジュースしかないんだけどいいかい?」
『あ、はい。』
俺たちは三人、口を揃えて返事をした。
「私は喉乾いてないからいらないわ」
朱里さんは首を横に振りながらそう答えた。
「芽吹さんって一人っ子なんですか?」
楓は飲み物を用意してくれている芽吹さんに純粋なじもを投げかけた。
「それは分からない。もしかしたら兄や弟、姉や妹がいたかもしれない。」