それにしても芽吹さんと橋本さんはあまり似ていなかった。おそらく母親の方に似たのだろう。
そんなことを考えていると、朱里さんが家のドアを開けて中に入ったので俺達も続いて部屋の中に入った。
「…広いね」
楓はとても高い天井を見て呟いた。俺も相槌を打つように「…そうだね」とだけ返した。そして、彰はここに来るまで終始無言だった。
「明日はこの辺りを観光するらしいから。今日は早めに寝るようにな」
朱里さんはそんな気まづそうな俺たちを見て必死に楽しい話をしようとしていた。
「この辺りをですか？」
「ああ、明日は春斗と芽吹さんは休みらしいからな。というか私たちが来るから休みをとってくれたらしい」
わざわざ俺たちをもてなすために休みまで取ってくれた、というわけか。
「楽しみだね！」
まだ暗い表情をしている彰に楓も必死に楽しませようとしていた。
「彰、楽しもうぜ」
俺はどうするば彰を楽しませることが出来るか少し考えたが、ダメだった。
「…そうだな」