「少し…考える時間をください」
当たり前だが彰は喜びをせず、ただただ静かにそう返事をした。
「ゆっくり考えてくれ。返事はいつでもいいからさ。」
「あの…」
俺はずっと聞きたかったことを聞こうとした。別に彰のことを診ている病院の先生が信用出来ないとかそういうのではないが、どうしても聞きたかった。
「なんだい?」
「彰って運動していいんですか?」
「…まだ初期段階だから全然大丈夫だよ。でも、無理はしないでね」
「教えていただきありがとうございます」
それだけ聞ければそれで良かった。俺はどうしても彰とバスケをして、彰と一緒に試合に出たかった。
「あ、そうだ。今日はここに泊まって行くんだよね?」
「え?」
俺はてっきりどこかのホテルに泊まると思っていたものだから思わずそう返してしまった。
「そうだが。というか、だから荷物預けたんだがな」
朱里さんは元々のその気だったらしい。
「ここって言っても隣だけどね」
「隣?」
「この病院の隣に僕達が住んでるんだ。お父さんも一緒にね」
通勤しやすそうだなぁ。そんなことを思っていた。
「へー、そうなんですね」
「じゃあ、一旦僕たちの家に行こうか」
というわけで芽吹さんの提案で俺たちは一旦その隣の家に向かうことになった。そして、荷物もそっちにあるんだとか。