「未来へ託すんだ。冷凍保存って知ってるかい？」
「え？冷凍…保存？」
間違いなく人間がするようなことでは無いので思わず、今度は俺がオウム返しをしてしまった。
「あぁ、彰くんの病気が治すことのできる年月まで体を保存して仮死状態にするんだ。もちろんそんなことをする間もなく治る可能性だって十分にあるけど。」
「私もそれをこの前電話で聞いたんだ。でも、いつになるか分からない。彰が目覚めた時、既に楓や俊はいないかもしれない。だから、確認するために連れてきたんだ。芽吹さんも言ったがそんなことする暇もなく治る可能性も十分にある。芽吹さんにはギリギリまでお願いするつもりだがな」
「別に決めるのは今じゃなくていい。でも、制限時間は最高でも十五年だ。」
「え、でも、さっき二十年って…」
「病気の進行状態が最小限でとどめるにはこれが限界なんだ。」
なるほど、二十年まで寿命を伸ばせたとしてもそれはあくまで仮の寿命で、実際は何年まで生きられるか分からない。病気が進行するスピードがもしかしたら早まるかもしれない。だとしたら妥当の年月だと思う。