バスケのこととか、学校生活のこととかを話しながら向かうこと十分。目的地に着いた。
「…なんで楓がいるの?」
楓はベンチで座りながら英単語帳を読んでいた。
「なんでって…俊に呼ばれたから?」
「ごめん…俺が呼んだ」
一応彰には謝っておいた。
「私がいちゃダメ?」
楓は悲しそうな顔で彰にそう言った。
「別に…いいけど」
「ありがとう!」
今度は嬉しそうに楓は笑った。よっぽど俺と彰がプレーしてる姿を見るのが好きらしい。いや、もしかしたら彰のプレーだけかもしれない。現に俺がプレーしてる姿を見ている時はいくらでもあった。それでもあんな笑顔を見せることは無かった。
「じゃあ、やろうぜ」
彰はコートに立ち、何度かドリブルをしたあとゴールに向かってレイアップシュートを決めた。
一か月前と変わらず綺麗なフォームだった。
「ねぇ楓、彰って本当に運動しても平気なの?」
俺は最終確認を取った。彰が無理をしてるんじゃないかと思ったから。
「平気じゃなかったら俊から聞いた時に止めさせるよ。本当に平気みたいなの。お医者さんは病気だからって運動しない方が良くないって。だから、軽い運動ならいいよって」