翌朝、目が覚めると彰はまだ寝ていた。珍しく俺の方が早く起きてしまったらしい。
「おい、起きろ」
この前とは立場が逆転していた。彰を揺さぶると顔をこちらに向けたが、案の定彰の目の周りは真っ赤になっていた。
「おい、遅刻するぞ」
もう一度揺さぶると彰は飛び起きた。
「うわっ!急に起き上がるなよ。びっくりするだろ」
「ごめん。というか俊…朝練は?」
彰が言った言葉で背筋が凍った。時計を見ると大遅刻だった。
「やべ!」
俺は慌ててパジャマから制服に着替えて学校に行く準備をした。彰を置いて一階のリビングに行くと置き手紙が置いてあった。
『遅刻しないようにすること。朝ごはんは冷蔵庫に入ってます。私とお父さんは早めに出ます。』
そう書いてあった。早速書かれていることを破りそうになった。
「朝ごはん冷蔵庫に入ってるから。あと、鍵は学校で返してくれればいいから!」
「あ、うん。ありがとう」
俺は家の鍵を彰に渡して急いで家を出た。