「すみません…。俺の病気のこと知っててあんなに優しくしてくれたんだなって思って…つい」
俺が風呂に入っている間に何かがあったのだろう。
それは俺には分からないが、両親が彰のために何かをやったのは明白だった。
「それは違うわよ、彰くん。別に彰くんが病気だから優しくしたわけじゃないわよ。彰くんだからしてるのよ。私たち家族でしょ?」
母は彰が泣いているからか、母まで泣きそうになりながらも彰にそう言った。そんな姿を俺と父は黙って見ていた。
彰が泣き止むまで少しかかったが別に苦ではなかった。むしろ彰の本心を聞けた気がして嬉しかった。

「明日、バスケしようぜ」
食事が終わり、俺の部屋で暇だからトランプをしていると彰が唐突にそう言った。
「何言ってだよ。する約束しただろ?」
俺は少し笑ってそう返事をした。
「そうだったな。でも、部活が終わってからでいいぞ」
「いいや、明日は部活休む」
この前も言ったと思うが、部活より彰優先で行こうと思った。
「…は?大会近いんだろ?いいよ、わざわざそこまでしなくて。それに、俺がバスケできるのはせいぜい三十分くらいだからそんなに時間いらないんだよ」