「俊…。」
「何？」
「茜さんに俺の病気のこと話したか？」
少しだけ心臓がドキッとした。
「…なんでそう思うんだ？」
「昨日からだけど、楓がいないのを不思議に思わなかったから」
言われてみればそうだ。普通ならここに楓がいる。
「…ごめん。話した」
今更隠す理由なんてどこにもなかった。
「…そっか。やっぱり茜さん達…優しいな」
俺は耳だけをかたむけていたけど彰のその泣きそうな声が聞こえてきちんと彰の方を向くと彰は泣いていた。
「どうしたの！？」
突然泣き出した彰に俺と父と母は困惑していた。
「すみません…俺…嬉しくて」
その泣きじゃくったその顔は久しぶりに見た、彰の本当の姿だった。
「彰くん…」
両親はなんて声をかけるべきか分からずまだ困惑していた。当たり前だ。息子の親友が病気で、後十年ほどしか生きられないと聞いたら誰でも困惑する。
両親は俺と同じように彰の口から言われるまで信じるつもりはなかったらしい。