「まぁ、まずはイルカショーだろ?」
「そうですね!あれ?一番前の席空いてますねー」
佐伯が一番前にちょうど四人が座れる場所があるのを見つけ、にやにやしながらそう言った。
「確実に濡れるぞ?」
俺は一応忠告しておいたが聞く耳を持たなかった。
「いいじゃないですかー!行きましょ!」
仕方ないので、席を一番前に移動した。すると、すぐにイルカショーが始まった。
「アシカショーに続き、イルカショーにお越しいただき誠にありがとうございます!イルカたちも皆さんに会えて喜んでいますよー!」
トレーナーがそう言ったが、嘘ではなさそうだった。イルカたちは確かにはしゃいでいる。同じ哺乳類だからかそれは伝わった。
「可愛いですね!」
佐伯はアシカを見た時と同じ感想を述べた。隣に座っているので無視はいけないと思い、「そうだな」とだけ言って後は真剣に見た。さっきと違い上の空にならずにきちんと楽しもうと思った。