「さっきも言ったけどさぁ、彰は俊にいつも通り接して欲しいんだと思う。だから、私もいつも通りに接するから一緒に頑張ろ?」
楓は俺の手をスっと握った。その手はとても震えていていた。でも、とても暖かかった。
「楓がそこまで言うなら…」
全部楓の判断に委ねている気がして、さらに自分が情けなかった。
「じゃあ、戻ろ?」
「うん」
俺と楓は自分の席に戻った。二人は魚の話で盛り上がっていた。
「おかえり。随分と遅かったな。もう始まっちまうぞ?」
「うん、ごめん。」
楓に言われた通りなるべくいつも通りで接しようとした。
「そういえば皆さんはイルカショー見たあとまだ時間あります?」
イルカショーを見終わる頃には午後三時頃になり、家に帰るのは多分五時頃だと思う。
別に俺は問題は無い。なんせ部活がある日はもっと遅い。
「うーん。近くに海があったな。そこ行きたい」
珍しく彰が提案をした。そして、その案に俺らは全員同意した。