俺達が席に向かっていると、彰と楓の二人は何か話しているのが見えたが、席に近づくと同時に会話を辞めてしまったので内容は分からなかった。
「なんか…あった?」
佐伯がまだ俺のと佐伯の分のカレーを持ってきてくれている最中だったので恐る恐る聞いてみた。
「いや、なんにもないよ」
彰が苦笑いをして俺にそう言ったが、どう見ても何かあった雰囲気だった。
「お待たせしましたー」
深く問い詰めようとしたが佐伯が戻ってきてしまったので後で楓に聞こうと思った。
「くるみちゃんありがとう!」
佐伯が席に着くと楓は元気を取り戻したみたいに佐伯にそう言ったが、演技をしているのがバレバレだった。
「しらす丼美味しいですか?」
佐伯はカレーを食べながら楓と彰に向かって、いかにも『しらす丼が食べたい!』というような感じで聞いた。
「美味しいよ?一口食べる?」
彰が答えるより先に楓がそう答えた。
「いいんですか!?」
最初から貰うつもりだったであろう佐伯が嬉しそうにそう言った。