「八つ当たりすんなや」
彰は笑いながらそう言ったが、珍しく正論を言われた気がした。
「そうですよ先輩!」
佐伯は彰に便乗し過ぎだと俺は思う。
そんなことを考えながらすぐにパジャマ姿から私服に着替えるために彰と佐伯を部屋から出した。
着替えをしながら彰に夜中言われた言葉の意味をずっと考えていた。おそらくあの時、話してしまうと気まづい状態で今日の水族館に行くことになる、そう思ったのだろう。こっちとしては話す内容はわかっている。彰の病気のことを未だに信じていない自分でも、本人である彰の口から言われたらさすが信じるしかなくなってしまうので少しだけ怖かった。
「頼むから…嘘だって言ってくれよ…」
ジーパンに履き替えながら俺は独り言を呟いた。
着替え終わったところで彰や佐伯を中に入れるためにドアを開けるとそこには楓の姿があった。
「あ、おはよう。ちゃんと来たんだね…」
「俊が来いっ言ったんじゃん」
楓は笑いながらそう言ったが、目は笑っていなかった。それに、相変わらずクマが酷かった。