「嘘ですよね。また私にそうやって嘘つくんですか?」
ちょっと怒り気味の佐伯は少しだけ怖かった。
「またって…そんな言い方するなよ。あれは必要な嘘だろ」
「なんだそれ」
佐伯ではなく彰が俺に呆れた反応をした。
「…全くですよ」
佐伯がそれに便乗した。
「とにかく…嘘じゃないから。というか明日は早いんだし寝ようぜ」
話を逸らしたかった。どうしても聞いて欲しくなかった。主に彰に。
「そうだな。」
「え!?聞かなくていいんですか!?」
彰が何も言わず納得してくれた。でも佐伯は知りたがっているみたいだ。
「無理に話すことねーよ。もしその話が重たい話だとして、せっかく明日楽しいところに行くのにきまづくなったらあれだろ?」
彰は楓と同じで優しい。俺はそんなふたりが好きだ。もちろん彰の方は恋愛感情とかではない。
「…それもそうですね」
「……ありがとう」
それから俺と彰は布団を敷いて川の字で横になった。佐伯はと言うと俺のベッドで寝ることにした。