「うん、もう平気だよ。」
「わかった。それより明日は来るんだろ?」
それが一番気になっていた。楓が来てくれないとなると俺は悲しい。何より女の子一人の佐伯が可哀想だ。
「行くよ。」
楓はバレバレな苦笑いでそう言った。
「…そっか」
それからは何気ない世間話をした。明日楽しみだねーとかその辺の話。とりあえず楓は明日来てくれるみたいで良かった。
「じゃあ、俺そろそろ帰るけど、明日迎えに行くわ」
明日来てくれないかもしれないという心配が少なからずあったからそう提案した。すると、楓は軽く笑って「大丈夫だよ。多分起きるの私の方が早いし」と言ったので俺も軽く笑ってその場を後にした。
『おい!今どこいるんだ!?』
家に帰るために歩きながら、携帯の電源を入れて彰の電話に出ると俺の鼓膜が破れるレベルの大きな声だった。
「ごめんごめん。今から帰るから」
『まっすぐ帰ってこいよ』
ふと携帯に表示された時刻を見ると朱里さんの家に着いてから一時間も経っていた。