彼は、他の人間とは何かが違う。ナニが? って聞かれても上手く答えられないけど……。だから私は、彼に惹かれ、その生き方を何よりも尊重する。これからも、彼と一緒にいたい。

でも、本当は………。一番、彼の近くにいちゃいけない存在で。

だって私は、この手で。

彼の大切な『両親を殺した』から。


◆◆◆◆◆【死神の平凡な日常】◆◆◆◆◆


明日は、休みです。

明後日も休みです。

来週も………たぶん休み。

私は、働くのが嫌いなんです。出来ることなら、何もしたくない。

「僕には、大事な妻と娘がいるんです。だから、た、助けて下さい。金なら払います。いくらですか? 何でも言ってください!」

私の前で両膝をつく男。
事務所の中は、先ほど首をはねた屈強な刺青男達のせいで、むせるような血の臭いに満ちていた。私は指をパチンッと鳴らし、その邪魔な燃えるゴミを地球上から消した。

「そうですか」

「まだ死ぬわけにはいかないっ!!」

「そうですか……はぁ…」

男は、机から出した拳銃で私の顔と腹に6個の黒い穴を開けた。

「……………わたし…に……は」

「大事な家族がいるんですよね? さっき、聞きましたよ」

私は、働くのが嫌いだ。

「さぁ、行きましょう」

「私……に……」


バビゅ、ジュルルルル。


男の魂を裂けた口で丸飲みし、地獄の底へ強制連行。

「しつこいって……。あ~、臭い臭い。なんて、不味い魂なんだろう」


私は、死神。
働くのが、大嫌い。でも愚かな人間は、そんな私を少しも休ませてくれない。