「理想を追わなければ理想は実現できませんよね?」
 レオはニッコリとして答えた。
 王様はレオの目をジッと見る……。
「……。そうか……。なるほど……」
 王様はそう言って目をつぶり、何度か大きくうなずいた。
 そして相好を崩すと、
「なるほど、レオさんは特別な方だな」
 そう言って少し羨ましそうにレオを見た。
 ちょっと恥ずかしそうにはにかむレオ。
「で、オディーヌ。お前はどうするんだ?」
 王様はオディーヌに振る。
「しばらくはアレグリスのお手伝いをしようかと……」
「王妃になるつもりは?」
 王様はニヤッと笑って言った。
「え!?」
 驚くオディーヌ。
 そしてレオと目を見合わせる……。
「まぁ、それは若い二人が自由に決めたらええじゃろ」
 レヴィアはニヤリと笑みを浮かべて言った。
 レオもオディーヌも真っ赤になって下を向く。
「分かった。それでは相互不可侵の安全保障条約を前提に移民計画を受け入れよう」
 王様は満面の笑みで言った。
「あ、ありがとうございます」
 レオは真っ赤になったまま頭を下げた。

 こうして、アレグリスはスラム街のそばの倉庫を一つ借り受けることになり、そこを拠点として移民受け入れ事業を進めることになった。

      ◇

 まだ朝もやが残る静謐(せいひつ)な早朝――――。

「ねぇ、レオ、ちょっと見て!」
 タワマンの一室で寝てるレオをオディーヌが起こす。
「ん? どうしたの?」
 乗っかっていたシアンの腕をどけ、目をこすりながら起きるレオ。
「これよこれ! チラシができたわ」
 徹夜明けのハイテンションでオディーヌが紙を渡す。
 それは街の写真がふんだんに盛り込まれた、スタッフ募集のチラシだった。
「うわぁ! 綺麗だね!」
 レオは喜んで写真を一つずつ眺めていった。
「これをあちこちの掲示板に貼ったり、配ったりしてスタッフを集めましょ!」
「うんうん、いいね!」
 レオはうれしそうに言った。
「あれ……? これ、何のマーク?」
 あちこちに使われている、龍が火を吹いているような意匠のマークを指して言った。
「あ、これは国章ね。案として作ったの。どう?」
「国章!? カッコイイね! さすがオディーヌ!」
 レオは目をキラキラさせながらオディーヌを見上げた。

        ◇