「全宇宙の……中心……」
 あまりに壮大な話にオディーヌは絶句する。

     ◇

「それで、今日は何するの?」
 シアンはニコニコして言う。
 レオはミルクを飲みながら、
「土地を整備したいなと思うんだけど……」
「おぉ、国土ね。レヴィアできる?」
「はいはい! ちゃんと考えましたよ。あの辺は標高五百メートルくらいの山が連なっておりますので、地下に太いパイプを通してですね、液状化させて土砂を全部海へと流してしまおうと思っております」
 レヴィアは自信ありげに言った。
「どのくらいかかるの?」
「一週間もあれば」
「僕が10分でやってあげるよ」
「へ!?」
蜘蛛(くも)でドーン! って」
蜘蛛(くも)……ですか? 十キロ四方の山地ですよ?」
「まぁ、見ててよ」
 シアンはうれしそうに言うが、レヴィアは渋い表情をしていた。

        ◇

 神殿に戻ると、シアンはみんなをコテージに入れ、コテージごと転移させて国土予定地の上空に跳ばした。
「うわぁ!」
 窓からの景色にレオが驚く。
 青々とした山々の稜線と谷が、編み込まれるように連なりながら海まで続いている。家もなければ人の手が入った形跡もない。
「この山地が僕たちの国になるの?」
 レオはシアンに聞いた。
「そうだよ、見ててごらん」
 シアンはニコッと笑ってそう言うと、
「『クモスケ』カモーン!」
 そう叫んで、澄み切った青空に向かって両手をフニフニと動かした。
 すると上空空高く、真っ青な青空の向こうから、白く霞みながら何か巨大なものが下りてくる……。
「蜘蛛……、なの?」
 レオが不思議そうに聞くと、シアンは、
「そうだよ、可愛い奴だよ」
 そう言って嬉しそうに笑った。
 下りてきた蜘蛛はどんどんと大きくなり、その異常な巨大さをあらわにする。確かに形は蜘蛛だった。
 しかし、それでもまだはるか彼方上空、青空の向こう側なのだ。
「え? すごく大きくない?」
 レオはビビる。
 さらに下りてきて、ようやく青空のこちら側に見えてきたときには、足の太さだけで数キロメートルはあろうというとんでもないサイズになっていた。
「ええっ!?」「ひゃぁ!」「うわぁ……!」
 一同、唖然(あぜん)としながらその超巨大蜘蛛の姿に圧倒される。