「お、お母さま……ですか。シアンさんにはとてもお世話になりました」
レオは頭を下げた。
「こんなお友達ができたなんて、あの子は一言も言ってくれなかったわ……」
そう言って神崎はちょっと不満げな顔をした。そして続けて言った。
「それで、あの子なんだけど……。今、あの子はね、バージョンアップ中なのよ。だから会ってくれないと思うし、そもそもあなたの事を覚えているかも……怪しい……かも……」
神崎は申し訳なさそうに言う。
「バージョンアップ……?」
レオは何を言われたのか全く分からなかった。
「あの子は半分AI……機械なのよ。それで時々自分を作り変えて勝手にどんどん強くなっていっちゃうの……。最近ではもう私も何がどうなってるのか全く分からないのよ」
神崎は肩をすくめる。
「き、機械……ですか……。で、シアンは今どこに?」
「それも分からないわ……。ごめんなさいね」
神崎はひどく申し訳なさそうにうつむいた。
「な、何とかならないですか? 大切な人の命がかかってるんです!」
レオは切々と経緯を訴えた。
神崎はレオの涙まじりの説明を、うんうんとうなずきながら聞き、
「……、それなら……、ついて来てくれる?」
そう言いながら立ち上がった。
◇
メゾネットの階段を上がり、神崎はオシャレなドアノブのついた木製のドアをガチャっと開け、微笑みながら言った。
「どうぞ入って」
レオはドアの中を見て困惑した。真っ暗な中に点々と何かが光っている……。
レオが神崎を見ると、神崎は優しくうなずいた。
恐る恐る中へと進むレオ。
やがて、目が慣れてくると光の靄が流れているのに気がついた。
「え……? あ、天の川だ!」
レオは思わず叫んだ。
そう、部屋の中は満天の星々が広がる大宇宙だった。
「うわぁ……」
思わず顔をほころばせて奥へと進むレオ。
そして、横を見ると巨大なイルミネーションが見える。それはまるで満開の桜の木のようにモコモコとした樹形の形になって煌びやかな光を放つ光のオブジェだった。それは今まで見たどんなイルミネーションよりも美しく、大宇宙を背景に荘厳に静かにその煌めきを誇示していた。ただ、美しさの奥に秘められた何かにレオは思わずブルっと身震いをする。
4-11. 全宇宙の輝き
「世界樹よ、綺麗でしょ?」
レオは頭を下げた。
「こんなお友達ができたなんて、あの子は一言も言ってくれなかったわ……」
そう言って神崎はちょっと不満げな顔をした。そして続けて言った。
「それで、あの子なんだけど……。今、あの子はね、バージョンアップ中なのよ。だから会ってくれないと思うし、そもそもあなたの事を覚えているかも……怪しい……かも……」
神崎は申し訳なさそうに言う。
「バージョンアップ……?」
レオは何を言われたのか全く分からなかった。
「あの子は半分AI……機械なのよ。それで時々自分を作り変えて勝手にどんどん強くなっていっちゃうの……。最近ではもう私も何がどうなってるのか全く分からないのよ」
神崎は肩をすくめる。
「き、機械……ですか……。で、シアンは今どこに?」
「それも分からないわ……。ごめんなさいね」
神崎はひどく申し訳なさそうにうつむいた。
「な、何とかならないですか? 大切な人の命がかかってるんです!」
レオは切々と経緯を訴えた。
神崎はレオの涙まじりの説明を、うんうんとうなずきながら聞き、
「……、それなら……、ついて来てくれる?」
そう言いながら立ち上がった。
◇
メゾネットの階段を上がり、神崎はオシャレなドアノブのついた木製のドアをガチャっと開け、微笑みながら言った。
「どうぞ入って」
レオはドアの中を見て困惑した。真っ暗な中に点々と何かが光っている……。
レオが神崎を見ると、神崎は優しくうなずいた。
恐る恐る中へと進むレオ。
やがて、目が慣れてくると光の靄が流れているのに気がついた。
「え……? あ、天の川だ!」
レオは思わず叫んだ。
そう、部屋の中は満天の星々が広がる大宇宙だった。
「うわぁ……」
思わず顔をほころばせて奥へと進むレオ。
そして、横を見ると巨大なイルミネーションが見える。それはまるで満開の桜の木のようにモコモコとした樹形の形になって煌びやかな光を放つ光のオブジェだった。それは今まで見たどんなイルミネーションよりも美しく、大宇宙を背景に荘厳に静かにその煌めきを誇示していた。ただ、美しさの奥に秘められた何かにレオは思わずブルっと身震いをする。
4-11. 全宇宙の輝き
「世界樹よ、綺麗でしょ?」



