カフェオレ三十路女が「ちょっくら青春してみるっ!」 とガンバったら、結構深い沼にハマってしまった件

人間、突き詰めれば皆、偽善という仮面を付けて生活している。

それは別に間違いではないのは分かっている。分かってるけど……

理屈ではなく感情が納得できなかった。

世の中、うまい具合に周りにいいイメージを与え、利益を生み出す者が今の時

代良く言われる勝ち組なのよね……。きっと、渡部も勝ち組の一人として世間

から認識されているに違いない。

では私は? 

負け組の部類に入るのよね。低視聴率女優の烙印を押され、舞台でも主役を降

ろされる。立派な負け組ね、今は。


でも……。


でも……!


私は正々堂々勝負して勝ち組になってみせる。

人間らしく、怒りたい時に怒り、笑う時には大笑いする。

それでいいじゃない。

渡部のように顔で笑って腹の中では罵詈雑言を吐く人より、よっぽどいいじゃ

ない。 

今の勝ち組の人たちも多分、そんな人ばかりよね。

でもそれは勝ち組の仮面を付けて勝ち組になった人。

私は負け組の仮面を正々堂々付けたまま勝ち組になってみせる!

例えそれが回り道でも、正直に生きることが本当の意味での近道なのだと信じ

たい。

無論、この劇団には今回の舞台が終わるまで居よう。立派に脇役を演じきろ

う。それがプロなのだから……。

私の中で、それまでモヤモヤしていたものが澄み切った夏空のように、どこか

サッパリした気分だった。と同時に、漲る力と闘志が沸き上がるのを感じた。