なぜ同い年の役柄で、美沙ちゃんを主役にしたのか、それは別にいいとして
も、実際に歳が約10歳離れているのに同い年とした不思議さ、点と点が合わ
さって一つの線となった。
そう考えると、渡部も苦渋の決断だったのかも知れない。
一人のクリエーターからしてみれば、そのような商業主義的な大人の事情に振
り回されるのは意ではなかったに違いない。
だが彼はクリエーターでもあり、劇団の主宰者でもある。
スポンサーの注文に背ける訳にも行かないず、自分の気持ちと正直に向き合え
なかったのが、あのホンだったのかも知れない。
父と食堂での食事を終えると、私は一人ホステルから椰子の実が流れ着いたと
云われる恋路ヶ浜の砂浜で月と星の光に煌めく波のたわむれを眺めていた。
幸い今夜は冷え込んではいなかった。
素敵な時間をここで寒さに凍えることに星に感謝し、私はそこで寄せては返す
波と音、慈しみと優しさを聞き入っていた。
ザバーン……
ザバーン……。
すると、後方から砂を踏みしめる足跡がいくつが聞こえてきた。
振り向くと、同部屋の有森さんと内田さんが歩いてきた。
「こんばんわ」
「こんばんわ」
私は二人の挨拶に「こんばんわ。今夜はあまり寒くないですね」と笑顔で語り
かけた。
「ええ、こんな早春な夜もあってたまにはいいでしょう」
有森さんが笑いながら、近くの丸太で作られた椅子に座った。
内田さんもそれに追じ、私も和らいだ空気を察知ししたので、丸太椅子に座っ
て夜空に散りばめられた星と母なる海を、二人と一緒に眺めた。
「あれですよね、女優の竹内さんですよね」
内田さんが言ったので、私は「はい」と答えた。
「やっぱり。まさかこんな所にいるとはさっきは思わなかったんで、でも会えて嬉しいです」
「そんな私なんかに……」
内田さんは大きく首を横に振った。
「前にやったドラマ大好きです、主役でやってた。ハードディスクにもバッチリ保存してあるんですよ」
「ああ、あれね。数字が悪くて打ち切りになっちゃったヤツ」
と、苦笑する私に、
「数字なんか関係ないです。役者として、あの演技、あの表情、あの目の動き、なんか凄く良かったですよ。お話しも良かったし」
「でもちょっと暗かったよね……それが数字に」
「テレビ関係の人ってやっぱりそうなんですか?」
「えっ」
も、実際に歳が約10歳離れているのに同い年とした不思議さ、点と点が合わ
さって一つの線となった。
そう考えると、渡部も苦渋の決断だったのかも知れない。
一人のクリエーターからしてみれば、そのような商業主義的な大人の事情に振
り回されるのは意ではなかったに違いない。
だが彼はクリエーターでもあり、劇団の主宰者でもある。
スポンサーの注文に背ける訳にも行かないず、自分の気持ちと正直に向き合え
なかったのが、あのホンだったのかも知れない。
父と食堂での食事を終えると、私は一人ホステルから椰子の実が流れ着いたと
云われる恋路ヶ浜の砂浜で月と星の光に煌めく波のたわむれを眺めていた。
幸い今夜は冷え込んではいなかった。
素敵な時間をここで寒さに凍えることに星に感謝し、私はそこで寄せては返す
波と音、慈しみと優しさを聞き入っていた。
ザバーン……
ザバーン……。
すると、後方から砂を踏みしめる足跡がいくつが聞こえてきた。
振り向くと、同部屋の有森さんと内田さんが歩いてきた。
「こんばんわ」
「こんばんわ」
私は二人の挨拶に「こんばんわ。今夜はあまり寒くないですね」と笑顔で語り
かけた。
「ええ、こんな早春な夜もあってたまにはいいでしょう」
有森さんが笑いながら、近くの丸太で作られた椅子に座った。
内田さんもそれに追じ、私も和らいだ空気を察知ししたので、丸太椅子に座っ
て夜空に散りばめられた星と母なる海を、二人と一緒に眺めた。
「あれですよね、女優の竹内さんですよね」
内田さんが言ったので、私は「はい」と答えた。
「やっぱり。まさかこんな所にいるとはさっきは思わなかったんで、でも会えて嬉しいです」
「そんな私なんかに……」
内田さんは大きく首を横に振った。
「前にやったドラマ大好きです、主役でやってた。ハードディスクにもバッチリ保存してあるんですよ」
「ああ、あれね。数字が悪くて打ち切りになっちゃったヤツ」
と、苦笑する私に、
「数字なんか関係ないです。役者として、あの演技、あの表情、あの目の動き、なんか凄く良かったですよ。お話しも良かったし」
「でもちょっと暗かったよね……それが数字に」
「テレビ関係の人ってやっぱりそうなんですか?」
「えっ」