朝遅く起きて、ご飯食べて、寝っ転がりながらテレビ見て、12時になったら昼
食を食べて、また寝っ転がりながらテレビ見て、夕食を食べて、寝る。
父はその繰り返しだった……。
その生活の中で、何かのきっかけにより『母の元へ逝きたい』と思うかどうか
が一番の心配だった。
幸い、最悪な状況に陥らなかった。だがその鬱々とした父の状態は変わらずに
母の一回忌を迎えた。
その日からである。父は鬱状態から次第にやる気を取り戻して行った。
理由は判らない。聞こうという気も私にはさらさらない。父の中で何かが解決
したんだろう。
「いつまでも塞ぎ込んでちゃイカンよな」
「娘が働いているのに親が働かないってのもオカシな話だ」
と、自分を鼓舞する言葉が出始めた頃、私は密かに取り寄せていた
シルバー人材センターのパンフレットを見せた……それがきっかけだった。
今、私は仕事をしている現在の父の姿を見ながら鬱状態だった日々の出来事が
遠く昔のことのように思い返していた。
早いものだわ、さ来週、母の三回忌が行われるんだから。
私は父の今の姿に満足しつつ、学校を去った。ここは父の男としての居場所な
のだ、私は邪魔者でしかない。私を必要としているのは……あそこなのだ、
きっと。
その夜、劇団の立ち稽古がスタートした。台本を片手に、台詞と演技を同時に
頭に体に叩き込んでいった。繰り返し繰り返し。
演出の渡部は、ダメ出しに関して怒号を飛ばさないタイプである。
冷静に自分のイメージとどういう風に違うのかを的確に伝えてやり直しさせる
タイプだ。役者の立場からしてみれば、どう違うのか言わないで怒鳴り散らす
タイプよりは断然良い。
間違いを指摘した後、手帳に何やら書き込むのはどう指導したかを書き込んで
いるらしく、律儀で几帳面な人とも言える。そんなクールな所がまた良かった
りと思える自分……困ったものだ。
約3時間の稽古を終え、私はお約束の休憩室(喫煙室)で外の自販機で買って
きた缶コーヒーを飲む。
ちょっと甘く感じるかも……。
以前はカフェオレの甘さでも平気だったのに段々と味覚が変わり始めた。
私、何か成長してるのかしら。
するとそこへ制作部・演出助手をしている青年がタバコを吹かしにやってきた。
食を食べて、また寝っ転がりながらテレビ見て、夕食を食べて、寝る。
父はその繰り返しだった……。
その生活の中で、何かのきっかけにより『母の元へ逝きたい』と思うかどうか
が一番の心配だった。
幸い、最悪な状況に陥らなかった。だがその鬱々とした父の状態は変わらずに
母の一回忌を迎えた。
その日からである。父は鬱状態から次第にやる気を取り戻して行った。
理由は判らない。聞こうという気も私にはさらさらない。父の中で何かが解決
したんだろう。
「いつまでも塞ぎ込んでちゃイカンよな」
「娘が働いているのに親が働かないってのもオカシな話だ」
と、自分を鼓舞する言葉が出始めた頃、私は密かに取り寄せていた
シルバー人材センターのパンフレットを見せた……それがきっかけだった。
今、私は仕事をしている現在の父の姿を見ながら鬱状態だった日々の出来事が
遠く昔のことのように思い返していた。
早いものだわ、さ来週、母の三回忌が行われるんだから。
私は父の今の姿に満足しつつ、学校を去った。ここは父の男としての居場所な
のだ、私は邪魔者でしかない。私を必要としているのは……あそこなのだ、
きっと。
その夜、劇団の立ち稽古がスタートした。台本を片手に、台詞と演技を同時に
頭に体に叩き込んでいった。繰り返し繰り返し。
演出の渡部は、ダメ出しに関して怒号を飛ばさないタイプである。
冷静に自分のイメージとどういう風に違うのかを的確に伝えてやり直しさせる
タイプだ。役者の立場からしてみれば、どう違うのか言わないで怒鳴り散らす
タイプよりは断然良い。
間違いを指摘した後、手帳に何やら書き込むのはどう指導したかを書き込んで
いるらしく、律儀で几帳面な人とも言える。そんなクールな所がまた良かった
りと思える自分……困ったものだ。
約3時間の稽古を終え、私はお約束の休憩室(喫煙室)で外の自販機で買って
きた缶コーヒーを飲む。
ちょっと甘く感じるかも……。
以前はカフェオレの甘さでも平気だったのに段々と味覚が変わり始めた。
私、何か成長してるのかしら。
するとそこへ制作部・演出助手をしている青年がタバコを吹かしにやってきた。