「空ちゃん、おはよう。課題やってきた?」
「うん... おはよう、課題...?」



眠い目を擦ると、目の前には親友の姿
7時に朝練があって、その疲れからか、そのまま眠ってたんだった。
そして課題.....


「あ!やってきてない、忘れてた.... 」
「やっぱり....これ写していいよ」


そう渡して、微笑む親友はまさに“天使”で、男子からモテる理由も分かる。
面倒見が良くて、真面目で、容姿も可愛い。


モテる要素しかない親友を
誇りに思う反面、少しばかり嫉妬してしまう。
だって“彼”も______



「空、桜ちゃん、おはよう」 


柔らかで綺麗なテノールボイス、私が好きな声、そして_______



“ 私の好きな人”


一ノ瀬翠(いちのせ みどり)
中学の入学式時、机が隣同士でそこから意気投合し、高校生になった今でも腐れ縁みたいに、一緒にいる。 
私にとっては、友だち以上の“大切な人”
だけど______




「おはよう、翠くん!」 
「あれ、桜ちゃん、髪切った?」
「うん、ショートボブにしてもらったの、どうかな?」
「ものすごく... 似合うよ」



無口でクールな彼が“笑ってる”
それだけでも、じゅうぶんに、理解できる。
けど、桜を見る目が、温かくて、何より、愛おしそう。



“ 彼は親友が好き”


その事実は変わらないし、桜も表情からして、翠が気になってるに違いない。
だから、私は_______



「会話がほのぼのしてるね、やっぱり二人お似合いだよね」



“ 試してしまう”
嫉妬心に駆られ、欲望が吐き出せなくて、だから二人を試してしまうんだ。


「そうかな...」
「空、変なこというなよ....」


そう困った表情をする二人、
だけど、お互いに嬉しそうで、照れてるんだ。






(もう、やだ.... 辛い...)

試して辛くなる、のはわかってる。
けど、どうしても、

彼に期待してしまう、好きになって貰いたい。



それはいけないことなの....?