太陽から地球の距離は光速で約八分、光速は秒間地球七周だから……。俺は紙に計算式を殴り書いていった。計算なんて久しぶりだ。
大体、3x10の23乗台のパソコンが動かせるくらいらしい。数字がデカすぎて訳が分からない。
で、この世界をシミュレーションしようと思ったら、例えば分子を一台のパソコンで一万個担当すると仮定すると、3x10の27乗個の分子をシミュレートできる計算になる。
これってどの位の分子数に相当するのだろう……?
続いて人体の分子数を適当に推定してみると……、2x10の27乗らしい。なんと、太陽丸まる一個使ってできるシミュレーションは人体一個半だった。
つまり、この世界をコンピューターでシミュレーションするなんて無理なことが分かった。究極に頑張って莫大なコンピューターシステム作っても人体一個半程度のシミュレーションしかできないのだ。この広大な世界全部をシミュレーションするなんて絶対に無理なのだ。もちろん、パソコンじゃなくて、もっと効率のいいコンピューターは作れるだろう。でもパソコンの一万倍効率を上げても一万五千人分くらいしかシミュレーションできない。全人口、街や大地や、動植物、この広大な世界のシミュレーションには程遠いのだ。
俺は手のひらを眺めた。微細なしわがあり、その下には青や赤の血管たちが見える……。
拡大鏡で拡大してみると、指紋が巨大なうねのようにして走り、汗腺からは汗が湧き出している。こんな精密な構造が全部コンピューターによってシミュレーションされているらしいが……、本当に?
鑑定の結果から導き出される結論はそうだが、そんなコンピューターは作れない。一体この世界はどうなっているのだろうか?
俺は頭を抱え、深くため息をついた。
2-10. 衝撃の宇宙旅行
しばらくして、店の裏手の空地に金属カプセルの素材が届いた。鐘とフタになる鉄板と、シール材のゴム、それからのぞき窓になるガラス、それぞれ寸法通りに穴もあけてもらっている。
これからこれを使って宇宙へ行こうと思う。
この世界が仮想現実空間であるならば、俺が宇宙へ行くのは開発者の想定外なはずだ。想定外なことを起こすことがバグを見つけ、この世界を理解するキーになるのだ。
大体、3x10の23乗台のパソコンが動かせるくらいらしい。数字がデカすぎて訳が分からない。
で、この世界をシミュレーションしようと思ったら、例えば分子を一台のパソコンで一万個担当すると仮定すると、3x10の27乗個の分子をシミュレートできる計算になる。
これってどの位の分子数に相当するのだろう……?
続いて人体の分子数を適当に推定してみると……、2x10の27乗らしい。なんと、太陽丸まる一個使ってできるシミュレーションは人体一個半だった。
つまり、この世界をコンピューターでシミュレーションするなんて無理なことが分かった。究極に頑張って莫大なコンピューターシステム作っても人体一個半程度のシミュレーションしかできないのだ。この広大な世界全部をシミュレーションするなんて絶対に無理なのだ。もちろん、パソコンじゃなくて、もっと効率のいいコンピューターは作れるだろう。でもパソコンの一万倍効率を上げても一万五千人分くらいしかシミュレーションできない。全人口、街や大地や、動植物、この広大な世界のシミュレーションには程遠いのだ。
俺は手のひらを眺めた。微細なしわがあり、その下には青や赤の血管たちが見える……。
拡大鏡で拡大してみると、指紋が巨大なうねのようにして走り、汗腺からは汗が湧き出している。こんな精密な構造が全部コンピューターによってシミュレーションされているらしいが……、本当に?
鑑定の結果から導き出される結論はそうだが、そんなコンピューターは作れない。一体この世界はどうなっているのだろうか?
俺は頭を抱え、深くため息をついた。
2-10. 衝撃の宇宙旅行
しばらくして、店の裏手の空地に金属カプセルの素材が届いた。鐘とフタになる鉄板と、シール材のゴム、それからのぞき窓になるガラス、それぞれ寸法通りに穴もあけてもらっている。
これからこれを使って宇宙へ行こうと思う。
この世界が仮想現実空間であるならば、俺が宇宙へ行くのは開発者の想定外なはずだ。想定外なことを起こすことがバグを見つけ、この世界を理解するキーになるのだ。



