「『お客からの誘いは全部断っていい』って言われてるから大丈夫よ」
「えー、そんなに簡単に行くかなぁ」
「ユータは行った事ある?」
「な、ないよ! 俺まだ十四歳だよ?」
「あのね、ユータ……。私はいろんな事知りたいの。ちょっと危ないお店で何が行われてるかなんて、実際に見ないと分からないわ!」
「その好奇心、心配だなぁ……」
「このままだとどこかのお屋敷のメイドになって一生家事やって終わりなのよ? そんな人生どうなのって思わない?」
「いやまぁそうなんだけど……。ドロシーが男たちの好奇の目にさらされるのは嫌だなぁ……」
「ふふふっ、ありがと! でも、今日一日だけのつもりだから大丈夫よ。あ、もう行かなきゃ!」
「うーん、気を付けてね」
「では、また今度報告するねっ! バイバイ!」
ドロシーはそう言うと足早に出て行ってしまった。
『銀の子羊亭』は風俗店ではないが、訪れる客はウェイトレスとのやり取りを楽しみにやってくる。そういう意味では水商売なのだ。もちろん、水商売がダメってわけではないけれども、怖い人も来るだろうし、トラブルも皆無とは言えないだろう。特にドロシーは可愛いちょっと目立つ女の子だ。心配である。
俺は工具を片付けると棚から魔法の小辞典を取り出して『変装魔法』のページを探す。そして、何回も失敗しながら、ヒゲを生やした30代の男に変装する事に成功した。
◇
夕暮れ時、明かりが灯り始めるにぎやかな街の雑踏を抜け、ちょっと淫靡な通りに入る。可愛い女の子たちが露出の多い過激な衣装で客引きをしてくる。
「おにーさん、寄ってかない?」
「銀貨一枚でどう?」
前世でも風俗は行った事が無かったので、ちょっと刺激が強すぎる。俺は硬い表情のまま、無視して通り過ぎていく。
しばらく行くと『銀の子羊亭』が見えてきた。見た目はただのレストランである。俺は深呼吸して覚悟を決めると、ドアをギギギーっと開けた。
「いらっしゃいませ~!」
可愛い女の子がそう言って近づいてくる。
「今日はフリーですか?」
いきなり分からない事を聞いてくる。
「え? フ、フリー……というのは……?」
「お目当ての女の子がいるかどうかよ。おにーさん初めてかしら?」
女の子は大胆に胸元の開いた赤いワンピースで、ニコッと笑いながら俺の顔をのぞきこむ。
「えー、そんなに簡単に行くかなぁ」
「ユータは行った事ある?」
「な、ないよ! 俺まだ十四歳だよ?」
「あのね、ユータ……。私はいろんな事知りたいの。ちょっと危ないお店で何が行われてるかなんて、実際に見ないと分からないわ!」
「その好奇心、心配だなぁ……」
「このままだとどこかのお屋敷のメイドになって一生家事やって終わりなのよ? そんな人生どうなのって思わない?」
「いやまぁそうなんだけど……。ドロシーが男たちの好奇の目にさらされるのは嫌だなぁ……」
「ふふふっ、ありがと! でも、今日一日だけのつもりだから大丈夫よ。あ、もう行かなきゃ!」
「うーん、気を付けてね」
「では、また今度報告するねっ! バイバイ!」
ドロシーはそう言うと足早に出て行ってしまった。
『銀の子羊亭』は風俗店ではないが、訪れる客はウェイトレスとのやり取りを楽しみにやってくる。そういう意味では水商売なのだ。もちろん、水商売がダメってわけではないけれども、怖い人も来るだろうし、トラブルも皆無とは言えないだろう。特にドロシーは可愛いちょっと目立つ女の子だ。心配である。
俺は工具を片付けると棚から魔法の小辞典を取り出して『変装魔法』のページを探す。そして、何回も失敗しながら、ヒゲを生やした30代の男に変装する事に成功した。
◇
夕暮れ時、明かりが灯り始めるにぎやかな街の雑踏を抜け、ちょっと淫靡な通りに入る。可愛い女の子たちが露出の多い過激な衣装で客引きをしてくる。
「おにーさん、寄ってかない?」
「銀貨一枚でどう?」
前世でも風俗は行った事が無かったので、ちょっと刺激が強すぎる。俺は硬い表情のまま、無視して通り過ぎていく。
しばらく行くと『銀の子羊亭』が見えてきた。見た目はただのレストランである。俺は深呼吸して覚悟を決めると、ドアをギギギーっと開けた。
「いらっしゃいませ~!」
可愛い女の子がそう言って近づいてくる。
「今日はフリーですか?」
いきなり分からない事を聞いてくる。
「え? フ、フリー……というのは……?」
「お目当ての女の子がいるかどうかよ。おにーさん初めてかしら?」
女の子は大胆に胸元の開いた赤いワンピースで、ニコッと笑いながら俺の顔をのぞきこむ。